私は、今17歳。シンガポールのインターナショナル・スクールのGrade12(日本の高校3年生)です。一学年約300人のうち、日本人は7人。他のクラスメイトは、世界30か国以上から集っており、まるで新鮮な野菜や果物を丸かじりするように、世界の多様性と向き合う毎日です。例えば、私の学校にはUN Nightという行事があって、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ、ラテンアメリカなど、それぞれの地域から選ばれた国々が、民族衣装に身を包み、ダンスやバンドなどのパフォーマンスを披露します。おもしろいのは、自分の国に参加してもいいし、他の国に参加してもいいことです。自国の文化を振り返り他者に伝えたり、他国の文化を学び参加してみることができる、とてもよい機会です。私は、1年目は、韓国のサムルノリという現代音楽のチャング奏者として出場し、多くの韓国人の友達と仲良くなりました。日韓問題について話をする際は、まず前提となる教育の違いに驚きました。しかし、直接対話をし、相手の意見に敬意をもって接し、そして自分の見解を率直かつ説得力を持って述べることによって、相互に理解が深まっていくのを実感しました。2年目の去年は、日本のよさこいチームを引っ張りました。10か国からなるメンバーをまとめるのは大変でしたが、良いショーを創るべく、みんなでアイディアを出し合い、喧々諤々と議論し、一生懸命練習した結果、最高のパフォーマンスを発表することができました。
また、英語のクラスでは、日本の歌で唯一全米ナンバーワンヒットとなった、坂本九の「上を向いて歩こう(米名: Sukiyaki)」を取り上げ、この歌が英訳された際、題名はもちろんのこと、主題も恋人を失った喪失感に置き換えられたことについて考察し、クラスで発表しました。当時、日本は高度成長期で、地方から都会に出てきて一人ぼっちでがんばる多くの人たちの寂寥感、それが季節を通してやまない無情感、また、日米安保条約が推し進められている中、反対する人たちの声が徐々に押しやられていく無力感があり、それでも上を向いて歩いていこう、という社会の応援歌的側面がこの歌にはあるんだ、と伝えると皆一様に驚きました。そして、なぜこのような違いが生まれたのかについて、文化(東洋と西洋)、価値観(個人とグループ)、言語(直接的と間接的)、表現方法(高文脈と低文脈)など様々な観点から議論を行うことができました。
その他、UKやベルギー、アメリカのサマースクールでは、唯一の日本人として、議論に多様性や深みを与えました。ラオスのヴィエンチャンへの修学旅行を、生徒たちだけで企画、実行し、マルベリーファームの畑仕事のボランティアを行いました。マレーシアの洋上研修では、咸臨丸に乗船して、幕末の志士の肖像画を前に、明治維新について皆に説明をしたりもしました。日本においては、東日本大震災後のボランティアに参加し、また、発達障害を持った子供たちのためのデイ・サービスのアシスタントを通じて、国内の多様性に目を向ける貴重な経験をしました。これからも、日本と世界との懸け橋になるべく、積極的に学び、行動し続けようと思います。