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準優秀賞【英語エッセー部門】 日本を離れて思ったこと  ~日本人であるということ~ 早稲田大学 4年 大澤 芙美さん

 私は日本を離れたことで、物の見方を変えることが出来た。私が初めて日本を離れたのは大学2年生の時だった。それまで20年間、日本で生まれ育ってきて自分の世界が閉塞的なものではないかという嫌気を感じるようになっていた。細かい規則に縛られ、代わり映えのない意見が繰り出され、物をはっきりということも出来ないつまらない社会なのではないかと思っていた。けれど全く違う社会で生活をしてみて、自分の考え方自体が狭いものだったと気付いた。
 渡米してみて、自分の今までの常識が世界の常識であるわけではないと実感した。日本という社会は私の中からは常に離れることのない前提なのだが、世界の中で考えれば日本人であることよりも、アジア出身であるという括りで考えられることのほうが多いのかもしれない。留学先で、外国人の中にはとりわけ日本と韓国や中国の文化の違いがはっきりとは認識できていない人も多いことに気付いた。自分から、日本はどんな国なのかと主張しなければ誰にも気付いてもらえないのだと学んだ。日本人という括りで見られるのではなく、日本人であるということを主張しなければいけない。今まで自分が捉われている鎖だと思っていたものが、自分を形作る型で、自分で築いていかなければいけないのだと気付いた。
 もう一つの大きな学びは、切り口を変えると新たなつながりが見えてくるということだ。私の寮のルームメイトは中国人と台湾人だった。日本に居た時にはこれらの国との違いばかりに意識が向いていたので、実際に一緒に暮らしてみるとむしろ似ているところの多さが際立って驚いた。生活習慣も、食事も、文化も、同じだねと言い支えあったことが本当に多かった。日本にいれば、日本と中国という2つの対象だけを比較しているから違いにばかり目が行っていた。アメリカでは日本、中国、アメリカやその他の文化と様々なものの中で日本と中国の関係をみていたからこそ、違いよりも共通点に目を向けることが出来た。
 全く違う世界に身を置くという経験を通して、自分が日本人であるという実感を得たと思う。ずっと閉塞的だと感じていた社会は、自分を縛り付けているのではなく、私の依り処を作ってくれていた場所だった。それまで何気なく食べていた食事がどれだけ口に馴染んでいたか。離れてみて初めて気付いた。何もかも知っているつもりだったのに、自分のことをまったく知らない人々と会ってみるといかに日本を説明することが難しいのかと思った。まだまだ、自分はこの社会のことを学び足りていないのだと知った。
 1年近く離れていたはずなのに、日本の空気を吸った途端に自分が一番落ち着く場所はここだと感じた。離れてみたからこそ、自分が日本人であるということを大切に思うことが出来るようになった。世界を知ること、それは自分を知ることにもつながるのだと思う。これからも、世界と自分に向き合い続ける人間でありたい。

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