インドネシアに行って、私は初めてドリアンという果物を食べました。ホームステイ先の女の子たちが気に入っているスイーツを食べられる屋台に連れて行ってもらったときのことでした。そこで、練乳を水で薄めたスープに細かく刻んだドリアンが入ったスイーツを食べました。私はドリアンを食べたことがなく、どんなものか全くわからなかったのですが、その時は不思議と警戒心はなく、好奇心のみでドリアンに挑みました。一緒にいた女の子たちはすごくあたたかい笑顔で私を見守ってくれていました。ドリアンを一口食べた瞬間に、嗅いだことがないような異臭が口の中に広がり、ものすごい勢いで鼻の中をかけぬけました。すぐに吐き出したかったのですが、人前なのでそれはできず、息をしようにも口を開ければ行儀が悪いし、鼻で息をすればドリアンが駆け巡る。私はその瞬間だけ呼吸困難な状態に陥りました。私はドリアンの異臭が原因となり、この場で命尽きるのかと本気で思いました。そうしてあわてながら声にならないうめき声で苦しんでいる私を見て、周りにいた女の子たちは手を叩いて楽しそうに笑っていたのです。私も逆の立場だったらそうすると思います。私は滑稽だったと思います。慌てふためいている中でふとあることに気が付きました。口の中がとてもやわらかい甘みで満たされていたのです。私が食べたことのないような上品な甘さでした。これはたしかに美味しい。だけれどやはり「臭い!」というのが私のドリアンの感想です。とてつもない異臭で敵から身を守らなければならないほどの魅力がこの果実にはありました。
これが異文化。よく考えてみると日本人が日本で納豆を平気で食べていることと同じようなことなのかもしれません。この出来事には大変衝撃を受けました。でもこれは、否定するべきことではなく、反対に尊重するべきことだと思いました。こういうものを食べることが出来るということは、食べ物に対する価値観や味の感じ方もまた違う、日本人とは違う範囲の物事を受け入れることが出来る人たちなのだと感じました。インドネシアでもドリアンは好き嫌いが分かれるそうです。
日本で私は拒否していた回し飲みも、せざるを得ない場面になることが多かったので、他人と飲食物を共有することができるようになりました。これを日本にいる友達に話すとすごい成長だと驚かれます。異文化に直面しても私は案外すんなりと受け入れることが出来ていて、自分が想像していたよりも、私には物事を許せる、受け入れる力があることにも気付くことが出来ました。気付けたことによって、私は変わったと思います。私は自分を変えるためにこの研修に参加しました。その目標も達成することができ、それ以上に目には見えないけれどいろんな形の愛をもらって帰ってきました。
いつか、また違う形でお返しをしたいと思っています。