特別対談 輝ける未来へ
大阪国際大学の川村副学長、久保田副学長をお招きし、宇佐美選手、大森選手とのスペシャル対談が実現。
地域貢献や人材育成、さらには国際化についてまで、両者の立場から熱い議論を交わし合いました。
宇佐美 リーグの中断期間前は16位と降格圏に位置し苦しみましたが、後半戦は好調を維持できています。苦しい時期があったからこそ今の充実があると思いますし、チーム力も高められている。すごく良い状態だと思いますね。
大森 チームは確かに好調ですが、僕自身は全然結果を残せていないので、これからの試合で少しでもチームの勝利に貢献できるようにやっていきたいです。
川村 私はラグビーが専門でサッカーは素人なのですが、16位から2位(第27節終了時)へのジャンプアップというのは、プロのスポーツ界全体でも珍しいことと思います。一気に順位を上げられた一番の要因はどこにあるのでしょうか?
宇佐美 やはり中断期間が大きかったと思います。16位だっただけに危機感を持っていいトレーニングができました。
大森 2回のキャンプの中でチームの課題を改善しつつ、選手たち同士もよく話し合いましたからね。それが今につながっているのかなと。
久保田 私はソフトボールが専門なのですが、大学でも多くのクラブが試合をしています。うまくいかない時に、どう次につなげていくかは共通のテーマです。好調を維持している現在、どういう心持ちで試合に臨んでいますか?
宇佐美 長谷川(健太)監督の考えがブレないということもあり、勝ったからといって一喜一憂する雰囲気はありません。勝っても浮かれることなく、すぐに次の試合に向けて集中できています。
大森 一戦一戦、大事に戦っていくという意識が浸透していると思いますね。
川村 私は長い期間、高校でラグビーを教えていましたが、その「一戦一戦の意識」を持たせるのがとても難しい。プロとアマチュアを同じ目線で見るのは失礼ですが、グラウンドの外でも様々なことが起こる。例えば、選手がケガをしたり、選手同士が喧嘩をしたり。チーム内の人間関係で注意していることはありますか?
宇佐美 選手はみんなプロですから、そういったいざこざは起こりません。上の世代の選手たちは若手が伸び伸びプレーできるように気を遣ってくれますし、それを見て僕たちの世代は、下の世代に思い切りプレーできるよう配慮したりはしていますが。
大森 ただ、ケガはこの世界では付き物ですからね。それはみんなが理解しています。ケガで誰かが離脱したら、代わりの選手がしっかりと結果を残す。そこは全員がちゃんと意識しているのかなと思います。
川村 素晴らしい。きちんと組織として機能しているんですね。
大森 そうですね。盛り上がってきているかなと思いますけど、まだまだスタジアムが満員にならないので、もっと頑張ってタイトルを獲らなければと思っています。
宇佐美 僕は元々ガンバのサポーターでしたから、勝敗や順位がお客さんの数に影響することは十分に分かっています。そういった意味でも、今のガンバには大きなタイトルが絶対に必要。優勝できれば、地域の皆さんの生活習慣の中にガンバが入っていけると思いますから、そこを目指していきたい。ご飯を食べる、寝ると同じレベルに、ガンバの試合を観に行くことをもっと根付かせていければと思っています。
川村 大学に限らず、現代の教育機関も地域との結びつきをいかに強めていくかは大きなテーマになっています。大阪国際大学も能動的に動き、地域の皆さんに身近に感じてもらわなければいけません。何かいいヒントはないでしょうか?
宇佐美 そうですね……。お客さんにスタジアムへと足を運んでもらうところは、ガンバのスタッフがしっかり頑張っています。それに対して、僕たち選手はピッチの上で魅力的な試合を見せる。やはり、来てもらっても試合が面白くないと全く意味がないと思いますから。
大森 「また観に来たい」と思ってもらえるかどうか。そこが大事ですよね。
久保田 大学で行っている教育を地域の皆さんにも還元していきたいと考えています。私どもは国際大学ですから学生には積極的に海外へ行ってもらい、様々な経験を積む、それを地域に還元していく。そういったサイクルを作っていければと。宇佐美選手はドイツでプレーされていましたが、日本との違いを感じた部分はどういったところでしたか?
宇佐美 やはり日常的にサッカーがある、というところですね。文化として完全に根付いています。クラブを応援するのが当たり前というか。
川村 一番困った、あるいはつらかったところはどこですか?
宇佐美 言葉です。サッカーをするぶんには理解できていましたが、日常生活において細かいニュアンスを伝えられない。そこがネックとなって、選手のコミュニティーにも入り切れませんでした。反省点というか、僕自身が未熟だったなと思います。
川村 今の大学生は海外留学に消極的な学生も多いのですが、海外を経験することで得られたものは大きかったですか?
宇佐美 キャリア的には遠回りしたかもしれないですけど、行って良かったと思っています。向こうにいる時は苦しく、つらくもありましたが、今こうしてガンバに帰ってきてドイツでの経験が生きています。ですから、学生の皆さんにもどんどん海外を経験してほしいと思いますね。
川村 大森選手の考えはいかがですか?
大森 海外留学に消極的な学生が多いのは、日本の環境が恵まれ過ぎているということが影響しているかもしれませんね。正直、僕も日本がいいなと思いますし(苦笑)。
久保田 自己表現力を身に着けさせること。そのためにはまず自己を理解し、海外に行くためには日本のこともしっかり理解する必要があります。その上で、自分の能力や考えを主張できる人間になっていってもらいたいと考えています。
川村 そうですね。自分自身をきちんと出し切れるかどうか。かつ全体を見る視点も持っている。これから日本人がどんどん世界に出ていく中で、どう自分を表現していくかが大事になると思います。
大森 僕たちが貢献できる唯一の手段は、ピッチで結果を残していくことに尽きると思います。まずはアジアチャンピオンズリーグの出場権を得て、アジア各国で試合をする。ガンバのことを知ってもらわないと何も始まらないと思います。
宇佐美 繰り返しになりますが、タイトルを獲ることが大切。アジア王者になれれば、知名度も人気も一気に上げることができます。
川村 本学はアジア諸国の多くの大学と提携し、学生の交換留学も積極的に行っています。アジアの一流企業にも学生を派遣しています。よって、アジアでの活動においてはガンバさんと協力して、いろいろなことにチャレンジしていきたいと考えています。
久保田 東南アジアへ活動の場を広げていくというのはガンバさんと本学の共通するテーマです。力を合わせることで、より大きなことを成し遂げられるのではないかと期待しています。お2人の力もお借りすることがあるかもしれません。ぜひご協力お願いします。
宇佐美 もちろんです。
大森 よろしくお願いします。