海外体験レポート ~国際コミュニケーション学科 広川 貴美さん~
Date.
13/07/25
長期派遣留学に行っていた学生からレポートが届きましたので、紹介します。
国際コミュニケーション学部
国際コミュニケーション学科 4年次生
留学期間 2012.9.2〜2013.4.10
北ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)
交換留学生としてカナダで過ごした約8か月間は、これまでの人生の中でかけがえのない時間となった。大学に入ったら絶対に留学へ行くと考えていた私は、いきなり長期間日本を離れて暮らす前に少しでも経験を積んでおいたほうがいいという母の助言で、二年次の春休みを利用してオーストラリアの短期留学に参加した。結果的にそのことで更に海外へ行って学びたいと思うようになった。カナダの大学で良き友人や先生に巡り合えたこと、自然豊かな環境で身になる勉学に励めたことは、自分にとって大きな財産となった。私が通ったUNBC (University of Northern British Colombia)は、ブリティッシュコロンビア州プリンスジョージという小さな町にあった。学生数は約4,500名と比較的小規模な大学であるが、最先端の実験設備や充実した図書館が整っている。ダウンタウンから少し上がった丘の上にあり、移動手段はバスかタクシーしかなく、あまり便利とは言えない。さらに、十月には雪が降り始め、十一月にはあたり一面真っ白になるくらい雪が積もるので、必然的に寮で過ごすことが多くなる。しかし、かえって勉強に集中することができて良かった。
UNBCの多くの授業は、先生が講義する'Lecture'と、少人数で行う'Tutorial'を合わせて一つの構成になっている。あらかじめ日本で興味の持った科目と時間を見て履修登録はしていたが、現地で配られるアウトラインを見てじっくり決めた。日本の大学と違って授業時間もその講義ごとに別々で、授業内容が多岐にわたり、選択肢が多くあるので欲張って取っても、全てをこなすことは容易ではない。そのため留学生には三つの講義を取ることが薦められ、その通りに一学期は三コース選択した。一年生のための大学生活の補助的な授業の"Learning Strategy"の授業はその後の大学で過ごすのにとても支えになった。授業にはもちろん専属の講師もいるが、毎回異なる大学のスタッフがきて、カウンセリングや奨学金、家庭教師のような授業の補助の案内を説明した。また授業以外で懇談の時間を設け、何か困っていることはないか、授業にはついていけているかなど何でも相談に乗ってくれた。また、パソコンを使っての授業や、グループ発表も盛んにあったので、いつも飽きない授業が魅力的だった。カナダではイギリス英語とアメリカ英語の両方の要素があるので、'color'が'colour'になったり、'center'が'centre'になったりと注意すべき点が多かった。また、文法の違い、言い回しの違いなど細かく指示があり、常に辞書が手放せない状況だった。
私が特に興味を持ったのは、教育コースの"Introdauction to Education"という授業だ。講師はアフリカ生まれでスウェーデンでも教育者として活躍し、カナダに移り住んで十年のベテランだ。彼女の講義は特に幼稚園や小学校に通う子供たちへの授業内容を取り扱っており、留学生にもわかりやすいように工夫されていた。しかし、決して簡単だったというわけではない。110分の授業が週二回あり、事前に教科書を読んでいるのを前提で進められていたため毎回予習は必須であった。一学期の授業で自信をつけた私は、引き続き教育の授業とその他二つのコースを選択した。前期は一年生向けの1000番台の授業ばかりを取っていたのだが、教育の授業だけ2000番台に挑戦した。これは、前期の最後に先生に受けることを薦められたからだ。一度学習したことをさらに突き詰めて学べるのはとても面白かった。その反面、1年生向けの授業から一気に難易度が上がったように思う。また、生徒数も以前の半分くらいに減り、少人数でのグループディスカッションが多くなった。教科書に載っている実際に学校で起こった事柄、子ども同士のけんかや授業についていけない子供について、自分が教師の立場にたってどのように解決するかを話し合い、模造紙に書いて発表しあった。どの事例も解決方法は一つではなく、いくつもの意見が出された。それらにただ賛成や反対するだけではなく、自分の体験を交えて発表するので、笑いあり、涙ありの話になることもしばしばあった。また、クラスにスウェーデンからの留学生がいたので、スウェーデンと日本、カナダ、アフリカの教育の違いについて触れる機会もあった。一学期間の授業だけでは、時間が足りず、狭く浅くしか学ぶことができないため、多くの講義に目移りしてしまうかもしれないが、少しでも興味を持った講義は続けて取るとさらに面白く感じると思う。
私を含め、ほとんどの留学生と一部の現地学生は大学の寮に居住していた。大学の目の前に四階建ての棟が二つあり四人一部屋で、それぞれにベッドと机がある部屋が割り当てられ、キッチンやバスルームは共同で使用するようになっている。ルームメイトは全員カナダ人で、私のつたない英語でも熱心に耳を傾けてくれた。また、みんな寿司が大好きなので、手巻き寿司パーティーをしたり、日本風のカレーが人気だったので作り方を教えて一緒に食べたりした。私の前にカナダに来ていた先輩が残してくれた炊飯器があったので、それで米を炊いていると、珍しいのか、それは何分で炊けるの、なんて種類の米なの、などと質問攻めにあった。普段私が当たり前に目にしているものでも、彼女たちの目には不思議なものに映ったのだろう。そういった発見が毎日のようにあり、お互いの文化を教えあうことで、急速に距離が縮まっていった。長期休暇にはアメリカ旅行にいき、年越しはバンクーバーで迎えた。今までテレビや本でしか見たことのない世界を、自分の目で見て、肌で感じることは貴重な体験となった。
帰国してからよく聞かれる質問が二つある。一つは「英語話せるようになった?」。この質問に、もちろん!と胸を張って答えたいのだが、実際は「まだまだ」だ。授業中に専門的な単語が聞き取れなくて、勉強不足だと痛感したことや日常会話においても、ネイティブのジョークがわからなくて、雰囲気についていけないこともあった。一時は英語を聞くことが嫌になった時期もあったが、話好きのルームメイトのおかげで「楽しく学ぶ」ことができ、カナダへ渡る前よりも確実に語彙は増え、会話はスムーズに行えるようになった。これからも努力を重ね、残りあと少しの学校生活を怠ることなく、次にカナダの友人に会う時は私から色々な話題を提供したいと考えている。もう一つは、ホームシックにならなかったかと聞かれる。これについては、私はほとんど感じなかった。初めてカナダに降り立った日、初めて見たオーロラ、初めて見る風景、何もかもが初めてなことばかりだった一学期。授業にも慣れ、友人とショッピングを楽しんだ二学期。テストも終わり、帰国直前までパーティーをした時間。本当に八か月もあった留学が一瞬にして過ぎて、ホームシックを感じる暇もなかった。
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国際コミュニケーション学科 4年次生
留学期間 2012.9.2〜2013.4.10
北ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)
帰国してからは就活もあり、慌ただしく日々を過ごすことになった。すでに就活を始めている友人に後れを取っていると帰国前は不安に思ったこともあったが、そんなことはない、むしろプラスなのだと考えている。今、こうして振り返ってみると、留学前は漠然としていた将来も、今なら鮮明に描くことができる。最後に、これだけ多くの経験をすることができたのは、いつも支えてくれた家族と留学に関して全面的にサポートしていただいた国際交流課の方々、資金面で援助していただいた大学の制度のおかげであり、ただただ感謝の気持ちでいっぱいである。
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