紙漉の伝統を守る学生の地域活動(奈良県吉野町)
Date.
17/05/16
グローバルビジネス学部の田中優ゼミでは、昨年度に引き続き、奈良県吉野町国栖地区において、地域資源を守り活用していく取り組みを展開しています。
奈良県吉野町は、歴史上、上質な和紙(吉野紙)生産を行ってきているところですが、後継者不足などにより、年々その生産高は減少していっています。また、原材料となる楮(こうぞ)生産が国内で少なくなっていることからも、海外輸入品の占める割合が大きくなっています。ただ、このことは質の悪い材料が多く混じることにもなっており、余分な加工の手間暇が増え、かえって、和紙価格を高騰させるという悪循環を生み出してもいます。
そこで、吉野町における楮(こうぞ)の安定供給の一助になるべく、また、耕作放棄地利用もすすめるべく、同町国栖(くず)地域での植栽活動を昨年度から行ってきています。
今回は、植え付け作業だけではなく、地元の紙漉き職人(福西)さんからお話も聴くことができ、また、紙漉の体験もさせていただき、学生の中では入口(楮の植栽)と出口(吉野紙生産)が一つに繋がったようでした。今後も、学生たちができることを果たしながら、国栖の地域の方とも交流を深め、地域の活性化について考えていきたいと思っています。
※今回の取組は、2017年4月28日付け産経新聞および4月30日付け奈良新聞に掲載されています。
◎参加学生の感想
・今回、国栖地区に行ってまだまだ自分の知らない世界があるのだなと感じました。前回も、和紙の作り方などを教えてもらったのですが、今回の、福西さんの和紙に対する気持ちや、伝統を守り抜く心などが非常に伝わってきました。材料や松の板や作り方など昔から全く変わることなく現在までやっていることに驚きました。こういった福西さんの伝統を大切にする気持ちや、仕事に対する姿勢など今後の自分の人生にも活かせることがあると感じました。また、この日本の文化を、大学の留学生にも感じてもらえるようにできないかなと考えています。今後、夏祭りなど様々なことで、吉野町とは関わっていくので、何かできたらなと思っています。
<グローバルビジネス学部4年生 伊藤聖悟さん>
・福西さんが和紙を作る工程・手順を見させていただいた時に第一に感じた事は、物凄く手間の掛かる作業だということでした。パンフレットでは17つもの工程手順が書いてありましたが、どれも手を抜いたり、ちょっとしたミスも許されないまさに職人でしかできない技なんだなと、一部の和紙づくりの体験をさせていただいた時にしみじみそう感じました。そして、素材にも妥協はしない、それは、楮の繊維を引っ付けるための、糊うつの木(皮の部分を使用)の話を聴いた時でした。今、この素材は鹿の被害により入手困難だと福西さんから聞きましたが、それでも他の素材には手をつけず、代々受け継がれた手法で貫いていることが、まさしく職人だなと、改めて感じました。そして福西さんだけではなく、楮の皮の傷取りをする方々や色々な方の作業があっての和紙づくりだと感じました。あと、福西さんが何より楽しくやっている姿を見て、いつか自分も、楽しくできるそして、夢中になれるような仕事をしたいと感じました。
<グローバルビジネス学部3年生 常宏夢さん>