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GLOBAL MIND賞 世界の現状に触れて 奈良女子大学附属中等教育学校 5年 桝田 奈央

あるきっかけによって、私の生き方は変わった。世界中をまわって、国際医療救援活動をされている医師による「地球のステージ」という講演だった。大きなスクリーンに映された、貧しい生活の中でも強くたくましく生きる子供たちの笑顔、私が今まで知らなかった世界の現状、すべてが私の心を強く揺さぶった。テレビ番組で、貧困に悩まされている人々がいることは知っていたが、この時ほどに私の心に響き、「どうにかしたい!」と奮い立たせられる瞬間は今までになかった。

それから国際協力に興味を持ち、同じ地球に住むみんなが毎日笑って暮らせる世界を作りたいと思うようになった。もっとたくさんの知識を得たいと思い、フェアトレードに関する本を読んだり、国際協力に関するイベントにも参加したりした。

そんな中、クラスメイトにスピーチをする機会があり、私は今の世界の現状と国際協力の必要性について話した。でも、関心をもって聴いてくれる友達は少ないように思えた。「どうしたら、みんながもっと国際協力や平和について関心を持ってくれるだろう」と思い悩んだ。

やがて、実際に途上国に足を運んで、この目で現状を見て確かめたいと思い、フィリピンを訪れた。事前にストリートチルドレンなど、物乞いをされている人たちがいることは調べて知っていたが、実際に目にするとショックで言葉が出なかった。首都マニラの市場に立ち寄った際に、何度もストリートチルドレンに出会った。うす汚くよごれてボロボロになった服を着て、裸足でいる小さな男の子が私の目をじっと見つめ、何度も手を差し出してきた。初めての経験に私は戸惑い、焦って目をそらすことしかできなかった。また、ホームステイした際には、シャワーをする際や飲み水も、桶に貯められた冷たい水で賄っていて、日本との衛生環境の違いを痛感させられた。裕福でモノやお金に恵まれている日本にいて、なに不便なく暮らせている今を当たり前と思っていたが、どれだけ有難いことだったのか気づかされた。日本にいては知り得なかった事実を目の当たりにして、「私にできることは何だろうか」、「この現状をたくさんの人に伝えたい」という想いがさらに強まった。そして、この想いを実際になにか自らが活動して表したいと思った。

その後、高校生平和大使に応募し、任命された今、平和な世界の実現に向けて活動をしている。たくさんの人の前で私の想いを話す機会も増えた。スイスのジュネーブにある国連欧州本部を訪問し、平和を求めるスピーチを行い、世界へ想いを発信する機会も得られた。あの講演ではじめて世界の現状を知った時の想いや、フィリピンを訪れて実際にこの目で見た時の衝撃によって、今の私がある。

これらの機会を経て、平和の大切さに気付いた私から、より多くの人々に世界の現状と平和であることの大切さを訴えかけたい。これからも私は、平和への道のりを一歩ずつ、あきらめずに歩んでいきたい。

講評

講演で今まで知らなかった世界の現状を知って、国際協力に興味を持ち、自ら行動を起こして様々な活動を通し、高校生平和大使に任命され、平和への道のりをあきらめずに歩む姿がエッセーから伝わってくる。読者に訴える力の強い作品である。

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