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準優秀賞【日本語エッセー部門】 台湾で学んだこと 淡路市立津名中学校 3年 高橋 雨川

人から道順を聞かれて、どれだけの人が親切に道を教えられるのだろうか。
正直、面倒くさいなあと思うことだと思う。自分のやっている作業をわざわざ止めなくてはいけないし、同じ教えるのなら丁寧に教えなくてはならない。なんてったって、相手は道筋を知らないのだから。

しかしいざ自分がその訪問者になると、その「少しの面倒」がどれだけ有難いことかというのを、私は今年の春に行った台湾旅行で身をもって実感した。

3泊4日の、初めての母との海外旅行。行き先は台湾。
前々から「台湾」という国に興味があったわたしはそれをとても楽しみにしていて、さっそくガイドブック等を見ながら自由行動でまわる場所の計画を練ったりして、1人で盛り上がっていた。

海外旅行に行くときは、いつも色んなことを想像する。
どんな風景が見られるのだろう。どんなおいしいものが食べられるのだろう。どんな人々に出会えるかな。短い期間だけど、満喫できたらいいな…等々、考え出したら止まらないのだ。

そして、待ちに待った台湾旅行の日。
行く先の飛行機から客室乗務員の方の雰囲気がとてもよくて、わたしはすでにわくわくしていた。
行先の飛行機の雰囲気というのは、旅行にとって大事なことだと思う。それだけで、大きく気分が変わってくるのだから。
そしてそのわくわくしたフライトの後、空港に着く。
入国審査の審査官の人も、パスポートに入国スタンプを笑顔で押してくれる。
なんだか、皆さんの笑顔がすごくすてきな国だなあというのが第一印象だった。

そして、その優しい対応と笑顔にたくさん救われたのだ。

1,2日目はツアーに沿って行動していたのだが、3日目は完全自由行動だったので、自分たちでその場所へ行かなくてはならなかった。
しかし、いかんせん行き方がよくわからない。
ガイドブックを片手にうろうろしてみるが、両方とも方向音痴なのでたどりつかない。まず最初の難関は、ホテルの最寄り駅を探すことだった。

その時に藁にもすがるような思いで、中国語が話せる母が街の人に道を聞いてくれた。
すると、尋ねたすべての人が笑顔で道を教えてくれたのだ。わたしには中国語がわからないから、何と言っているのかは全く分からない。
だけど、口調やジェスチャーから、精いっぱい丁寧に道を教えてくれているのがよく分かった。

なんということだろう。日本では、どんなふうに返ってくるんだろう。
教えてくれる人はたくさんいると思う。
だけど、果たして笑顔で教えてくれる人はいるだろうか。

その笑顔と人々の親切さで、わたしは台湾が大好きになった。
その国がいい国かどうかを分ける1つの方法として、その国を好いてくれる人が多いかどうかというのがあると思う。

わたしたちも、日本をより優しい国にするために、日々の行動を少しずつ優しい行動に変えていくべきではないだろうか。「笑顔で道案内をする」。
それはそう、一見小さなことだけれども、うんと好印象を与えることなのだ。

好印象を与える行動をみんながしていると、日本も今よりもっと好印象を与えられる国になるのではないだろうか。

1度自分の行動を振り返って、「これは好印象を与えるのだろうか?」というのを、他人目線から考えてみること
そしてそれがまずいかな、と思ったら積極的に直そうと努めること。

そんな当たり前かもしれないけれど、とっても大切なこと。
それがたった3泊4日の旅行の中で、台湾の人々から学んだことである。

講評
文章構成が良く、素直に述べているところが好感度の高い作品、日本が今より好印象を与えられる国になるためにはどうすべきかの提言も表現されている。ただ、なぜ台湾人が笑顔で道案内できるのか、日本人が出来ないのかを作者なりに表現したものが欲しかった。

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